2020年 09月 19日
万葉集 現代語訳 巻十九4146・4147
4146 夜(よ)ぐたちに寝覚(ねさ)めてをれば川瀬(かわせ)尋(と)め心もしのに鳴く千鳥かも
※「夜ぐたち」夜のふけること。夜中過ぎ。夜ふけ。
※「尋め」マ行下二段活用・連用形。尋ね求める。さがす。
※「心もしのに」うちしおれて。しんみりして。
※「千鳥」チドリ目チドリ科の鳥。海辺や川瀬に群れ棲む。
夜中を過ぎて目覚めていると
川の浅瀬をあちこちと
伝い求めて切ないほどに
チドリが鳴いていることだ
4147 夜(よ)くたちて鳴く川千鳥(かわちどり)うべしこそ昔の人も偲(しの)ひ来(き)にけれ
※「夜くたちて」夜が更けて。
※「うべしこそ」もっともなことに。なるほどその通りに。
※「偲ふ」恋い慕う。
※「来にけれ」〈に〉完了・連用形。〈けれ〉詠嘆・已然形。気づきの〈けり〉(これまでにあったことに、今気づいた意)。
夜更けになって川のチドリの
鳴く声がする このように
昔の人もチドリの声に
心惹かれてきたのだな