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万葉集 現代語訳 巻十七3914・3915

ホトトギスを思った歌一首 田口朝臣馬長(たぐちのあそみうまなが)の作
3914 ほととぎす今し来(き)鳴(な)かば万代(よろずよ)に語(かた)りて継(つ)ぐべく思ほゆるかも

    ホトトギスが今ここに来て
    鳴いてくれたら万代の
    後にも語り伝える価値が
    あると思えることだなあ


原注
これは、言い伝えによると、あるとき友人が集まって宴会を開いたが、その日その場所でホトトギスは鳴かなかった。そこでこの歌を作り、待ち遠しく思う気持ちを述べたという。しかし、その宴会の場所と年月とはまだ明らかでない。

山部宿祢明人(やまべのすくねあかひと)が春のウグイスを詠んだ歌一首
 ※山部赤人のことだといわれている。
3915 あしひきの山谷(やまたに)越えて野づかさに今は鳴くらむうぐひすの声
 ※枕詞:あしひきの
 ※「野づかさ」野の中の小高いところ。

    山を越えて谷を渡って
    人里近い野の丘で
    今は聞こえていることだろう
    ウグイスの鳴くその声が


原注
これは、年月と場所とがまだ明らかでない。しかし、聞いたときのままここに記載する。


by sanukiyaichizo | 2020-02-16 00:00 | 万葉集巻十七 | Trackback | Comments(0)