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万葉集 現代語訳 巻十三問答3309

問答①-3
柿本朝臣人麻呂の歌集の歌
3309 物思(おも)はず 道行く行くも 青山を 振りさけ見れば つつじ花(はな) にほえ娘子(おとめ) 桜花(さくらばな) 栄え娘子(おとめ) 汝(なれ)をぞも 我(われ)に寄すといふ 我をぞも 汝(なれ)に寄すといふ 汝(な)はいかに思(おも)ふ
思へこそ 年の八年(やとせ)を 切り髪の よち子を過ぎ 橘の ほつ枝(え)を過ぐり この川の 下にも長く 汝(な)が心待て

 ※3305(問)と3307(答)を合わせた形になっている。

    晴れた心で道行きながら
    草木の茂った山を仰げば
    ツツジの花咲くきれいな乙女
    桜の花のさかりの乙女
    おまえが私に気があるように
    世間は噂しているけれど
    私がおまえに気があるように
    世間は噂しているけれど
    寂しい山でも噂になれば
    仲良くなってしまうというよ
    おまえの気持ちはどうだろう

    好きだからこそ八年間も
    振分け髪の少女時代を
    過ぎて背丈が橘の木の
    枝先超える年になるまで
    心の底でひたすら長く
    あなたの気持ちが私に向くのを
    待ち続けていますのに

原注
以上五首。


by sanukiyaichizo | 2019-06-16 00:00 | 万葉集巻十三 | Trackback | Comments(0)