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万葉集 現代語訳 巻四相聞557・558・559・560・561・562

土師宿祢水道(はにしのすくねみみち)が、筑紫から都へ上る海路で作った歌二首
557 大船(おおふね)を漕(こ)ぎのまにまに岩に触れ覆(かえ)らば覆(かえ)れ妹(いも)によりては

    大きな船を勢いに
    まかせて漕いで岩に触れ
    転覆するならしてしまえ
    愛する妻のためならば


558 ちはやぶる神の社(やしろ)にわが掛(か)けし幣(ぬさ)は賜(たば)らむ妹に逢はなくに
 ※枕詞:ちはやぶる
 ※「幣」神に祈願するとき、旅の無事を祈るときに捧げる品。麻の繊維や木綿などを用いた。
 ※「賜(たば)らむ」いただきましょう。

    神社に以前わたくしが
    祈って奉納した幣を
    返してほしいあの人に
    逢わせてもらえないならば


大宰大監(ださいのだいけん)大伴宿祢百代(ももよ)の恋の歌四首
559 事もなく生(い)き来(こ)しものを老(お)いなみにかかる恋にも我(あれ)はあへるかも

    何ごともなく無事生きて
    来たのに老いの身となって
    こんな恋にもわたくしは
    めぐり逢っているのです


560 恋ひ死なむ後(のち)は何せむ生(い)ける日のためこそ妹(いも)を見まく欲(ほ)りすれ
 ※「何せむ」反語。どうしようもない。
 ※「見まく欲りすれ」〈こそ〉の結び。見たいと思う。

    恋に焦がれて死んだなら
    あとではすべて遅すぎる
    生きている日のためにこそ
    あなたに逢いたく思います



561 思はぬを思ふと言はば大野(おおの)なる三笠(みかさ)の社(もり)の神し知らさむ
 ※「大野なる三笠の社」福岡県大野城市山田。『日本書紀』に記された〈御笠の森〉と呼ばれる小さ
  な森が今もある。〈社〉は〈国つ神の来臨するところ=ヤシロ〉のことであり〈モリ〉という読み
  はない。ここでは〈神の来臨する森〉という意味で〈モリ〉と読んでいるようだ。
 ※「神し知らさむ」〈し〉強意。〈知らさ〉は〈知る〉の尊敬、未然形。〈む〉推量。神がご存じだ
  ろう。

    好きでもないのに偽って
    好きと言ったら大野の地
    三笠の森の神さまが
    知っておいでになるでしょう


562 暇(いとま)なく人の眉根(まゆね)をいたづらに掻(か)かしめつつも逢はぬ妹かも
 ※「眉根をいたづらに掻かしめつつも」眉がかゆいのは恋人に逢える前兆だという俗信による。

    しきりに眉をかゆくして
    逢えると期待させるけど
    いくら掻いても逢おうとは
    しないあなたであることだ



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by sanukiyaichizo | 2017-08-23 00:00 | 万葉集巻四 | Trackback(4) | Comments(0)