2016年 12月 11日
『とはずがたり』現代語訳について
現代語訳するにあたって次の四点を心掛けています。
1原文の意味内容を変更しない。(加えも減らしもしない)
2注釈をつけず、本文だけですらすら読めるようにする。
3韻文は韻文に訳す。(定型詩は定型詩に訳す)
その上で、
4読んで心地よい現代日本語をめざす。
目的は、古典作品を広く共有できるようにすることです。せめて西洋文学を読む程度には自国の作品について親しみや理解を持てるようになりたい、と思ってこのブログを始めたのですが、『とはずがたり』でも変わりません。
主として参考にさせていただいているテキストは次の五つです。
1三角洋一校注『とはずがたり たまきはる』新日本古典文学大系50(岩波書店)
2久保田淳校注・訳『建礼門院右京大夫集 とはずがたり』新編日本古典文学全集47(小学館)
3次田香澄『とはずがたり(上)(下)全訳注』(講談社学術文庫)
4冨倉徳次郎『とはずがたり』(筑摩叢書)
5中田祝夫監修 呉竹同文会著『とはずがたり全釈』(風間書房)
それぞれ研究者の個性も出ていて、とても勉強になります。他に玉上琢彌『源氏物語評釈』など、本文中の引用箇所に応じて参考にさせていただいています。ただ、手元に資料は少なく、足しげく図書館に通うこともなく、最後に頼るのは『日本国語大辞典』のみというおぼつかなさで、学問的な場所から見れば至らない点も多いかと思います。
引き続き「巻四」を訳していく予定です。それと並行して、「巻一」から順に手直ししていこうと思っていますので、お気づきになったことなどコメント下されば幸いです。
私も
久保田淳校注・訳『建礼門院右京大夫集 とはずがたり』新編日本古典文学全集47(小学館)
次田香澄『とはずがたり(上)(下)全訳注』(講談社学術文庫)
を並読しながら今、ここまで読めましたが、
上記の通り、訳者の方々個性や解釈も異なって、またそれが読み応えにも繋がっているのですが、
現代語でさえ前時代的な書き方なので、馴染みにくく入って来にくかったのが、
讃岐屋様の訳は大変すんなり入って来てくれて、理解を深めるのに、大変助かっております。
これから巻四に入ります。
続きが楽しみです。
コメントありがとうございます。わかりやすいことを第一の目標に訳しているので、そう言って下さって、なによりうれしいです。
あとで読み返してあわてて訂正することも多いので、何かお気づきになられたら、またご指摘ください。