2018年 04月 23日
万葉集 現代語訳 巻八雑歌1530・1531・1532・1533
1530 をみなへし秋萩交(ま)じる蘆城の野今日(きょう)を始めて万代(よろずよ)に見む
※「蘆城の野」福岡県筑紫野市阿志岐。大宰府の東南数キロにあった。
女郎花と秋萩が
交じり合い咲く蘆城の野
今日をはじめにこれからは
いついつまでも眺めよう
1531 玉くしげ蘆城の川を今日見ては万代までに忘らえめやも
※枕詞:玉くしげ
※「忘らえめやも」〈え〉可能。〈め〉推量。〈やも〉反語。忘れられないだろう。
きょう蘆城の美しい
川をこうして眺めると
もうこれからは永遠に
忘れられないことだろう
原注
これらの二首は、作者未詳。
笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が伊香山(いかごやま)で作った歌二首
※「伊香山」滋賀県長浜市木之本町の賤ケ岳付近の山。
1532 草枕旅行く人も行き触ればにほひぬべくも咲ける萩かも
※枕詞:草枕
旅行く人が行きずりに
ふと触ったりでもしたならば
色に染まってしまうほど
みごとに咲いている萩だ
1533 伊香山(いかごやま)野辺(のへ)に咲きたる萩見れば君が家なる尾花し思ほゆ
※「尾花」ススキの穂。
伊香の山の野辺に行き
咲いている萩眺めれば
あなたの家でいつか見た
ススキの花を思い出す