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万葉集 現代語訳 巻八雑歌1530・1531・1532・1533

大宰府の諸卿大夫と官人らが、筑前国の蘆城(あしき)の駅家(うまや)で宴会をしたときの歌二首
1530 をみなへし秋萩交(ま)じる蘆城の野今日(きょう)を始めて万代(よろずよ)に見む
 ※「蘆城の野」福岡県筑紫野市阿志岐。大宰府の東南数キロにあった。

    女郎花と秋萩が
    交じり合い咲く蘆城の野
    今日をはじめにこれからは
    いついつまでも眺めよう


1531 玉くしげ蘆城の川を今日見ては万代までに忘らえめやも
 ※枕詞:玉くしげ
 ※「忘らえめやも」〈え〉可能。〈め〉推量。〈やも〉反語。忘れられないだろう。

    きょう蘆城の美しい
    川をこうして眺めると
    もうこれからは永遠に
    忘れられないことだろう


原注
これらの二首は、作者未詳。

笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が伊香山(いかごやま)で作った歌二首
 ※「伊香山」滋賀県長浜市木之本町の賤ケ岳付近の山。
1532 草枕旅行く人も行き触ればにほひぬべくも咲ける萩かも
 ※枕詞:草枕

    旅行く人が行きずりに
    ふと触ったりでもしたならば
    色に染まってしまうほど
    みごとに咲いている萩だ


1533 伊香山(いかごやま)野辺(のへ)に咲きたる萩見れば君が家なる尾花し思ほゆ
 ※「尾花」ススキの穂。

    伊香の山の野辺に行き
    咲いている萩眺めれば
    あなたの家でいつか見た
    ススキの花を思い出す



by sanukiyaichizo | 2018-04-23 00:00 | 万葉集巻八 | Trackback | Comments(0)