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万葉集 現代語訳 巻五雑歌 沈痾自哀文⑥

考えてみると、賢者愚者の区別なく、昔と今の違いなく、だれもが嘆いたものだ。歳月は競うように流れて昼夜休むことなく、
〈曾子は、「過ぎ去って還らないものは年である」と言った。孔子が川のほとりで嘆いたのもまたこのことだった〉

老いと病がせき立て合い、朝から晩まで身体を蝕むということを。生涯の楽しい宴の席をまだ味わい尽くしてもいないのに、
〈魏の文帝が当時の賢人を惜しんだ詩に、「まだ西苑(せいえん)の夜の宴が終わらないうちに、はやくも北邙山(ほくぼうさん)に葬られて塵となる」とある〉

千年先まで生きていたいという哀しい願いが宴のあとに続く。
〈古詩に、「人生は百年も生きられないのに、どうして千年先の心配をするのか」という〉



by sanukiyaichizo | 2017-11-17 00:00 | 万葉集巻五 | Trackback | Comments(0)