人気ブログランキング | 話題のタグを見る

万葉集 現代語訳 巻四相聞700・701・702・703・704

大伴宿祢家持が乙女の家の門に到着して作った歌
700 かくしてやなほや退(まか)らむ近からぬ道の間(あいだ)をなづみ参来(まいき)て
 ※「なほ」それでもやはり。元のとおり。
 ※「なづみ」苦労して。

  こんなふうにやはりむなしく
  帰って行かねばならないか
  あまり近くもない道のりを
  苦労しながらやって来て


河内百枝娘子(こうちのももえおとめ)が大伴宿祢家持に贈った歌二首
701 はつはつに人を相見ていかにあらむいづれの日にかまた外(よそ)に見む
 ※「はつはつに」ほんのちょっと。

  ちょっとお逢いしたことのある
  あなたはどうしておられます
  遠くからでもいつの日かまた
  お目にかかれましょうかしら


702 ぬばたまのその夜(よ)の月夜(つくよ)今日(きょう)までにわれは忘れず間(ま)なくし思(おも)へば
 ※枕詞:ぬばたまの
 ※「月夜」月。
 ※「間なく」絶え間なく。

  あの夜に見たの月を今日まで
  私は忘れておりません
  絶え間もなしにあなたのことを
  お慕い申していますので


巫部麻蘇娘子(かむなぎべのまそおとめ)の歌二首
703 わが背子(せこ)を相見しその日今日(きょう)までにわが衣手(ころもで)は乾(ふ)る時もなし

  あなたとお逢いしたその日から
  今日までずっとわたくしの
  着物の袖は涙に濡れて
  乾くひまもありません


704 たく繩(なわ)の長き命を欲(ほ)りしくは絶えずて人を見まく欲りこそ
 ※枕詞:たく繩の
 ※「見まく欲りこそ」逢いたいと願う。〈こそ〉強意。〈あれ〉などが省略されている。

  長く生きていられる命を
  私が欲しいと思うのは
  絶えずあなたに逢っていたいと
  願うからこそなのですよ



by sanukiyaichizo | 2017-09-21 00:00 | 万葉集巻四 | Trackback | Comments(0)