口上

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定型詩を口語訳する定型詩による口語訳

当店の主な商品には
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惜しみなく使用させていただいております

皆さま方のご要望にお応えし
よい塩梅に調整してございますので
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ご家族やご親族、ご近所の皆さま方で
仲良く分け合ってお試しくださいますよう
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# by sanukiyaichizo | 2017-12-31 09:20 | Comments(0)

天平元年(729年)。摂津の国の班田(はんでん)の書記官であった丈部竜麻呂(はせつかべのたつまろ)が自ら首をくくって死んだときに、判官大伴宿禰三中が作った歌
443 天雲(あまぐも)の 向伏(むかぶ)す国の もののふと 言はるる人は 天皇(すめろき)の 神の御門(みかど)に 外(と)の重(え)に 立ち候(さもら)ひ 内(うち)の重(え)に 仕(つか)へ奉(まつ)りて 玉葛(たまかずら) いや遠長く 祖(おや)の名も 継ぎ行くものと 母父(おもちち)に 妻に子どもに 語らひて 立ちにし日より たらちねの 母の命(みこと)は 斎瓮(いわいへ)を 前にすゑ置きて 片手には 木綿(ゆう)取り持ち 片手には 和(にき)たへ奉(まつ)り 平(たひら)けく ま幸(さき)くませと 天地(あめつち)の 神を乞ひ禱(つ)み いかにあらむ 年月日(としつきひ)にか つつじ花 にほへる君が にほ鳥(どり)の なづさひ来(こ)むと 立ちて居(い)て 待ちけむ人は 大君(おおきみ)の 命(みこと)恐(かしこ)み おしてる 難波(なにわ)の国に あらたまの 年経(ふ)るまでに 白(しろ)たへの 衣(ころも)も干(ほ)さず 朝夕(あさよい)に ありつる君は いかさまに 思(おも)ひいませか うつせみの 惜(お)しきこの世を 露霜(つゆしも)の 置きて去(い)にけむ 時にあらずして
 ※枕詞:玉葛、たらちねの、つつじ花、にほ鳥の、おしてる、あらたまの、白たへの、うつせみの、
  露霜の
 ※「班田」ここでは班田司、公民に口分田を班給し租税を確保する制度を実施するための役所。
 ※「判官」はんがん、ほうがん、じょう。三等官。
 ※「大伴宿禰三中」おおとものすくねみなか。このとき、摂津の国班田司の判官だった。
 ※「向伏す」はるかむこうの方に横たわる。
 ※「もののふと」〈もののふ〉は上代では文武百官のことだが、ここでは武官を念頭に置いた表現。
 ※「外の重に立ち候ひ内の重に仕へ奉りて」初め衛士として仕え、やがて評価されて書記官に抜擢さ
  れたことを踏まえての表現。
 ※「斎瓮」神に供える酒を入れる器。
 ※「木綿」楮(こうぞ)の皮の繊維で作った糸。幣帛として榊などにつける。
 ※「和たへ」打って柔らかくした神に供える布。
 ※「奉る」さし上げる。献ずる。
 ※「ませ」〈行く〉の尊敬語、命令形。
 ※「乞ひ禱み」祈願して。
 ※「なづさひ」水に浸かって。

    はるかむこうに横たわる
    雲の果ての遠国の
    武人といわれている人が
    皇居の門の外に立ち
    お仕えしてはまた中で
    さらにお仕えすることで
    ますます父祖の勇名を
    未来につないでいくのだと
    母や父にも妻子にも
    語り聞かせて故郷(ふるさと)を
    発った日から母君は
    神を祭る酒甕を
    自分の前に据え置いて
    片手に供えの木綿(ゆう)を持ち
    もう片手には柔らかい
    白布を高くさし上げて
    どうか平和でご無事でと
    天地の神に祈願して
    何年何月何日に
    かわいいわが子が難儀して
    帰って来るであろうかと
    立って座って落ち着かず
    待っておられたことだろう
    その当人は天皇の
    仰せで難波の国へ行き
    長年着物を洗い干す
    間もなく朝夕忙しく
    勤務に励んでいた君は
    どうお思いになったため
    惜しいこの世をあとにして
    去ってしまわれたのだろう
    死ぬには早い年齢で

反歌
444 昨日(きのう)こそ君はありしか思はぬに浜松の上(うえ)に雲にたなびく
 ※「昨日こそ君はありしか」〈こそ〉係助詞。〈しか〉過去の助動詞、已然形中止法は逆接。昨日に
  は君は生きていたのに。
 ※「思はぬに」思いがけず。

    きみはたしかに昨日まで
    生きていたのに突然に
    今日は浜辺の松の上
    雲となってたなびくよ


445 何時(いつ)しかと待つらむ妹(いも)に玉梓(たまずさ)の言(こと)だに告げず去にし君かも
 ※枕詞:玉梓の

    はやく帰ってくださいと
    待ちわびている妻君に
    言伝てをすることもなく
    あなたは死んでいったのだ


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# by sanukiyaichizo | 2017-07-24 00:00 | 万葉集巻三 | Comments(0)

神亀六年(729年)、左大臣長屋王が死を賜った後に、倉橋部女王が作った歌
441 大君(おおきみ)の命(みこと)恐(かしこ)み大殯(おおあらき)の時にはあらねど雲隠(くもがく)ります
 ※「長屋王」ながやのおおきみ。天武天皇の孫、高市皇子の子。政治家として律令制維持の政策を推
  し進めるが、藤原不比等の四人の息子たち(藤原四兄弟)と対立し〈長屋王の変〉勃発、誣告によ
  り自害する。
 ※「大殯」〈殯〉正式な埋葬までの間死体を棺に納めて安置しておくこと。〈大〉は敬称。ここでは
  寿命が尽きて死ぬことをあらわしている。
 ※「雲隠ります」〈雲隠る〉は貴人が死ぬことの婉曲表現。

    帝の命(めい)を受けたため
    殯(あらき)の宮にお祀りする
    そんな時期ではないけれど
    雲に隠れてしまわれた

    
膳部王を悲しみ悼んだ歌
442 世の中は空(むな)しきものとあらむとそこの照る月は満(み)ち欠(か)けしける
 ※「膳部王」かしわでのおおきみ。長屋王の子。長屋王が自死したとき、母や弟たちとともに自縊し
  た。

    この世の中はむなしいと
    あらわすために照る月は
    こうして毎日満ち欠けを
    繰り返しているのだな

原注
この一首は作者未詳である。

 ※長屋王は妖術を用いて国家を傾けようとしていると密告され、尋問を受けた。新興有力貴族の藤原
  氏と非藤原系皇族との間の権力闘争という性格の事件だが、舎人親王などが藤原側についたために
  長屋王は敗れ、家族とともに葬られた。大伴旅人なども非藤原の政治家として大宰府に追放された
  のではないかと推測されている。


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# by sanukiyaichizo | 2017-07-23 00:00 | 万葉集巻三 | Comments(0)

神亀五年(728年)、大宰帥大伴旅人卿が故人を思い偲んだ歌三首
438 愛(うつく)しき人のまきてししきたへの我が手枕(たまくら)をまく人あらめや
 ※枕詞:しきたへの
 ※「故人」妻をさす。
 ※「まきてし」〈まき〉は〈まく〉の連用形。〈て〉完了、連用形。〈し〉過去、連体形。枕にして
  寝た。
 ※「あらめや」〈や〉反語。だれもいない。

    愛しい妻が枕にし
    寝た私のこの腕を
    手枕にして寝る人は
    ほかにだれがいるだろう

原注
この一首は、死別して数十日を経て作った歌。

439 帰るべく時はなりけり都にて誰(た)が手本(たもと)をか我が枕(まくら)かむ

    帰京するべきときがきた
    都に帰ってわたくしは
    これからだれの二の腕を
    枕に寝ればよいだろう


440 都なる荒れたる家(いえ)にひとり寝(ね)ば旅にまさりて苦しかるべし

    都の寂しい家に着き
    たったひとりで寝るならば
    つらい旅寝のときよりも
    いっそうつらいことだろう

原注
この二首は、帰京する時期が近づいて作った歌。



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# by sanukiyaichizo | 2017-07-22 00:00 | 万葉集巻三 | Comments(0)