口上

脳にやさしい定型口訳
胃にもやさしい定型口訳
あるじの自慢は定型口訳
定型詩を口語訳する定型詩による口語訳

当店の主な商品には
近ごろ気になる新発明?
巷でうわさの定型口訳を
惜しみなく使用させていただいております

皆さま方のご要望にお応えし
よい塩梅に調整してございますので
いつも快適にご利用いただけます

ご家族やご親族、ご近所の皆さま方で
仲良く分け合ってお試しくださいますよう
謹んでお願い申し上げます


古典文学よろず取扱
讃岐屋一蔵商店の
商品一覧

万葉集
巻一 巻二

王朝日記物語集
和泉式部日記 伊勢物語 建礼門院右京大夫集
とはずがたり巻一 とはずがたり巻二 とはずがたり巻三 とはずがたり巻四 とはずがたり巻五

近松門左衛門世話浄瑠璃傑作集
心中天の網島 曾根崎心中 冥途の飛脚 女殺油地獄

その他
上田秋成小説集 小倉百人一首 エッセイ 
上海里留の詩と小説



[PR]
# by sanukiyaichizo | 2017-12-31 09:20 | Comments(0)

高市皇子の城上(きのへ)の殯宮のときに、柿本人麻呂が作った歌
短歌二首
200 ひさかたの天(あめ)知らしぬる君ゆゑに日月(ひつき)も知らず恋ひわたるかも
 ※枕詞:ひさかたの
 ※「天知らしぬる」天を治める身となられた。

    天に昇ってお治めに
    なっておられる皇子だから
    月日の経つのもわからずに
    慕い続けていることだ


201 埴安(はにやす)の池の堤(つつみ)の隠(こも)り沼(ぬ)の行くへを知らに舎人(とねり)は惑(まと)ふ
 ※「知らに」わからないので。

    埴安の池の堤防に
    かこまれ淀む沼の水
    どこへ流れて行くのやら
    舎人は途方に暮れている


ある書の反歌
202 泣沢(なきさわ)の神社(もり)に神酒(みわ)据ゑ祈れども我が大君は高日(たかひ)知らしぬ
 ※「泣沢の神社」橿原市木之本町の畝尾都多本(うねおのつたもと)神社。香具山の西にある。イザ
  ナギがイザナミの死を悲しんで泣いた涙から生まれた泣沢女神(なきさわめのかみ)を祀る。
 ※「高日知らしぬ」〈高日知る〉天に昇り、天をお治める、つまり天皇や皇子が死去する。

    泣沢神社の神さまに
    神酒(みき)を捧げて祈ったが
    高市皇子は空高く
    昇って行ってしまわれた


原注
この一首は『類聚歌林』に、「檜隈女王(ひのくまのおおきみ)が泣沢神社を恨んで作った歌である」とある。『日本書紀』を調べると、「十年(696年)九月十日に、後の皇子尊(みこのみこと)が亡くなった」とある。


[PR]
# by sanukiyaichizo | 2017-05-27 00:00 | 万葉集巻二 | Comments(0)

高市皇子の城上(きのへ)の殯宮のときに、柿本人麻呂が作った歌
199 かけまくも ゆゆしきかも 言はまくも あやに畏(かしこ)き 明日香の 真神(まかみ)の原に ひさかたの 天(あま)つ御門(みかど)を かしこくも 定めたまひて 神さぶと 岩隠ります やすみしし 我が大王の きこしめす 背面(そとも)の国の 真木(まき)立つ 不破山越えて 高麗剣(こまつるぎ) 和射見(わざみ)が原の 行宮(かりみや)に 天降(あも)りいまして 天(あめ)の下 治めたまひ〈一に云ふ、払ひたまひて〉 食国(おすくに)を 定めたまふと 鶏(とり)が鳴く 東(あづま)の国の 御軍士(みいくさ)を 召(め)したまひて ちはやぶる 人を和(やわ)せと まつろはぬ 国を治めと〈一に云ふ、払へと〉 皇子(みこ)ながら 任(ま)け給へば 大御身(おほみみ)に 太刀(たち)取り佩(は)かし 大御手(おおみて)に 弓取り持たし 御軍士を あどもひたまひ 整(ととの)ふる 鼓(つづみ)の音は 雷(いかづち)の 声と聞くまで 吹き鳴(な)せる 小角(くだ)の音も 敵(あた)見たる 虎が吼(ほ)ゆると 諸人(もろひと)の おびゆるまでに ささげたる 旗のなびきは 冬ごもり 春さり来れば 野ごとに つきてある火の 風のむた なびかふごとく 取り持てる 弓弭(ゆはず)の騒(さわ)き み雪降る 冬の林に つむじかも い巻き渡ると 思ふまで 聞きの恐(かしこ)く 引き放つ 矢のしげけく 大雪の 乱れて来たれ まつろはず 立ち向かひしも 露霜(つゆしも)の 消(け)なば消(け)ぬべく 行く鳥の 争ふはしに 渡会(わたらい)の 斎宮(いつきのみや)ゆ 神風(かむかぜ)に い吹き惑(まと)はし 天雲(あまくも)を 日の目も見せず 常闇(とこやみ)に 覆(おお)ひたまひて 定めてし 瑞穂の国を 神(かむ)ながら 太敷(ふとし)きまして やすみしし 我が大君の 天の下 奏(もお)したまへば 万代(よろずよ)に 然(しか)しもあらむと 木綿花(ゆうはな)の 栄ゆる時に 我が大君 皇子(みこ)の御門(みかど)を 神宮(かむみや)に 装(よそ)ひまつりて 使はしし 御門の人も 白たへの 麻衣(あさごろも)着て 埴安(はにやす)の 御門の原に あかねさす 日のことごと 鹿(しし)じもの い這(は)ひ伏し(ふ)つつ ぬばたまの 夕(ゆうへ)に至れば 大殿を 振り放(さ)け見つつ 鶉(うずら)なす い這(は)ひもとほり 侍(さもら)へど 侍ひえねば 春鳥(はるとり)の さまよひぬれば 嘆(なげ)きも いまだ過ぎぬに 思ひも いまだ尽きねば 言(こと)さへく 百済の原ゆ 神葬(かむはぶ)り 葬りいませて あさもよし 城上(きのへ)の宮を 常宮(とこみや)と 高くまつりて 神ながら しづまりましぬ しかれども 我が大君の 万代(よろずよ)と 思ほしめして 作らしし 香具山の宮 万代に 過ぎむと思へや 天(あめ)のごと 振り放け見つつ 玉だすき かけて偲(しの)はむ 恐(かしこ)くあれども
 ※枕詞:ひさかたの、やすみしし、高麗剣、鶏が鳴く、冬ごもり、露霜の、行く鳥の、やすみしし、
  木綿花の、あかねさす、ぬばたまの、言さへく、あさもよし、玉だすき
 ※「高市皇子」たけちのみこ、天武天皇の最年長の皇子。母の身分が低く、位は草壁、大津に次ぐ。
  壬申の乱に父天武天皇を援けて活躍した。
 ※「かけまくも」心にかけて思うのも。
 ※「真神の原」奈良県明日香村安居院(あんごいん=飛鳥寺)のあるあたり一帯。〈真神〉はオオカ
  ミの異名。
 ※「天つ御門」天武天皇の清御原宮をさす。
 ※「神さぶと」神らしくふるまって。
 ※「背面」北。語源〈ソツモ=背の側〉。
 ※「真木」杉や檜など良質の木。特に檜の異名。
 ※「不破山」岐阜県不破郡と滋賀県米原市伊吹町の境の山。
 ※「和射見が原」岐阜県関ケ原町関ヶ原。
 ※「行宮」仮に作った宮殿。
 ※「食国」統治なさる国、領土。
 ※「ちはやぶる」凶暴な。
 ※「まつろはぬ」服従しない。
 ※「任けたまへば」軍の統率権をお与えになると。
 ※「あどもひ」〈あどもふ〉連用形、率いる。
 ※「ささげたる」高くさし上げている。
 ※「風のむた」風とともに。
 ※「弓弭の騒き」弓の弦をかける部分が音をたてる様子。
 ※「渡会」伊勢の国の郡名。現在の伊勢市と渡会郡。
 ※「斎宮」伊勢神宮に奉仕する未婚の内親王。またその御所。ここでは伊勢神宮をさす。
 ※「瑞穂の国」日本国の美称。
 ※「天の下奏したまへば」〈奏す〉は勅を受けて政治をおこなうこと。主語は高市皇子。
 ※「神宮に」殯宮として。
 ※「埴安」奈良県橿原市の地名。
 ※「さまよひぬれば」嘆き悲しんでいると。
 ※「百済の原」奈良県北葛城郡広陵町百済。
 ※「過ぎむと思へや」〈や〉反語。終わるだろうとは思わない。

    思うだけでもはばかられ
    口に出して言うことは
    まことにおそれ多いあの
    明日香の真神の原の地に
    おそれ多くも宮殿を
    お定めになり神として
    天の岩戸にお隠れに
    なった天武天皇が
    お治めになる美濃の国
    真木のそびえる不破山を
    越え関ヶ原の仮宮に
    お出ましになり全国を
    平定なさることにして
    東(あずま)の国の兵隊を
    お集めになり凶暴な
    人々鎮めるようにせよ
    従わぬ国治めよと
    高市皇子に戦いの
    指揮を任せられたので

    皇子は腰に太刀を佩き
    み手に弓を取り持たれ
    兵隊たちを率いられ
    足並みそろえるために打つ
    太鼓の音は雷が
    鳴り響いているようだ
    吹き鳴らしている笛の音(ね)は
    敵に向かって吼えたてる
    虎かと人々恐怖する
    掲げた旗のなびくさま
    春の野原のそこここに
    放った野火があおられて
    風になびいているようだ
    手に持つ弓のうなる音
    雪降る冬の林間を
    つむじ風巻きわたるかと
    思われるほど恐ろしい
    引き放つ矢は大雪の
    ように乱れて降りそそぎ
    抵抗していた者たちも
    死ぬなら死んでもかまわぬと
    先を争い戦うが 
    ちょうどそのとき度会の
    伊勢の宮から神風を
    吹かせて敵を惑わして
    雲で太陽見えぬよう
    真っ暗闇に包み込み
    ついに鎮めてしまわれた
    
    平定なさった日本国
    帝みずから統治して
    高市皇子がご政務を
    お執りになったことにより
    永く続くと思われて
    めでたく栄えていたときに
    高市皇子の宮殿を
    殯宮(あらきのみや)と飾り立て
    使っておられた従者たち
    白い麻の喪服着て
    埴安にある宮殿の
    広場に昼は一日中
    鹿のように這い伏して
    夕べになれば宮殿を
    はるかに仰ぎ眺めては
    鶉のように這いまわり
    そばにお仕えしたくても
    お仕えできない悲しみに
    嘆いていたが溜息の
    やまないうちに悲しみも
    まだ終わっていないのに
    百済の原を通過して
    神さまとして葬って
    城上の宮を永遠の
    宮殿として高々と
    造ってみずから神として
    そこに鎮座なさられた
    
    けれど高市皇子さまが
    永久(とわ)にと願って造られた
    香具山の宮はいつまでも
    なくなることはないだろう
    大空仰ぐように見て
    しっかりお慕いしていこう
    おそれ多くはあるけれど


[PR]
# by sanukiyaichizo | 2017-05-26 12:37 | 万葉集巻二 | Comments(0)

明日香皇女の城上(きのへ)の殯宮のときに、柿本人麻呂が作った歌
196 飛ぶ鳥の 明日香の川の 上(かみ)つ瀬に 石橋渡し〈一に云ふ、石なみ〉 下つ瀬に 打橋(うちはし)渡す 石橋に〈一に云ふ、石なみに〉 生(お)ひなびける 玉藻もぞ 絶ゆれば生(お)ふる 打橋に 生(お)ひををれる 川藻もぞ 枯るれば生(は)ゆる なにしかも 我が大君の 立たせば 玉藻のもころ 臥(こ)やせば 川藻のごとく 靡かひの 宜(よろ)しき君が 朝宮を 忘れたまふや 夕宮(ゆうみや)を 背(そむ)きたまふや うつそみと 思ひし時に 春へには 花折りかざし 秋立てば 黄葉(もみじば)かざし しきたへの 袖たづさはり 鏡なす 見れども飽かず 望月(もちづき)の いやめづらしみ 思ほしし 君と時どき 出でまして 遊びたまひし 御食向(みけむ)かふ 城上(きのへ)の宮を 常宮(とこみや)と 定めたまひて あぢさはふ 目言(めこと)も絶えぬ しかれかも〈一に云ふ、そこをしも〉 あやに哀しみ ぬえ鳥(どり)の 片恋づま〈一に云ふ、しつつ〉 朝鳥の〈一に云ふ、朝霧の〉 通はす君が 夏草の 思ひ萎(しな)えて 夕星(ゆうつづ)の か行きかく行き 大船(おおぶね)の たゆたふ見れば 慰(なぐさ)もる 心もあらず そこ故に せむすべ知れや 音のみも 名のみも絶えず 天地(あめつち)の いや遠長く 偲(しの)ひ行かむ 御名(みな)にかかせる 明日香川(あすかがわ) 万代(よろずよ)までに はしきやし 我が大君の 形見(かたみ)にここを
 ※枕詞:飛ぶ鳥の、しきたへの、鏡なす、望月の、御食向かふ、あぢさはふ、ぬえ鳥の、朝鳥の、夏
  草の、夕星の、大船の、天地の
 ※「明日香皇女」天智天皇の皇女、忍壁皇子(おしかべのみこ)の妃。
 ※「城上」奈良県北葛城郡広陵町の地名かと言われている。
 ※「石橋」川の浅瀬に並べた飛び石。
 ※「打橋」板を渡しただけの橋。
 ※「なにしかも」どうしてか、まあ。
 ※「もころ」ように。
 ※「臥やせば」横におなりになると。
 ※「靡かひの」寄り添い合う。
 ※「うつそみ」この世の人。
 ※「春へ」だいたい春のころ。
 ※「たづさはり」互いに手をとり。
 ※「めづらしみ思ほしし」愛すべきだとお思いになった。
 ※「時どき」しばしば。
 ※「しかれかも」そのためだろうか。「そこをしも」〈しも〉強意。そのことを。
 ※「通はす君」忍壁皇子をさす。
 ※「たゆたふ」思い迷う。
 ※「せむすべ知れや」〈すべ〉手段、方法。〈や〉反語。どうしたらいいかわからない。
 ※「かかせる」負い持っておいでになる。関係がおありになる。
 ※「はしきやし」ああ、愛しい。

    明日香川の川上に
    飛び石置いて川下に
    板を渡して橋にする
    その飛び石に生えている
    玉藻も絶えればまた生える
    板橋に茂る川藻でも
    枯れればさらに生えてくる
    それなのにわが皇女(ひめみこ)は
    立てばきれいな藻のように
    寝れば川の藻のように
    互いに体を寄り添った
    夫の君の朝宮を
    どうして忘れられたのか
    夕宮を去ってしまうのか
    
    まだお元気でおられると
    思っていたとき春頃は
    花を手折って髪に挿し
    秋は紅葉を髪に挿し
    手をつなぎ合い見つめ合い
    ますます愛しく思われた
    夫の君と繰り返し
    おいでになって遊ばれた
    城上の宮をこれからは
    永久(とわ)の御殿と定められ
    逢って話をすることも
    おやめになってしまわれた
    
    そのためとても悲しまれ
    ひとり恋しく思われて
    ここに通って来られては
    萎れてあちこち行き来して
    思い悩んでいらっしゃる
    皇子のご様子見ていると
    気の休まることはない

    けれどもなにができようか
    せめて噂とお名前の
    ふたつは絶やさないように
    永くお慕いしていこう
    その名にゆかりの明日香川
    ここをいとしい皇女(ひめみこ)の
    万世までの形見として


短歌二首
197 明日香川しがらみ渡し塞(せ)かませば流るる水ものどにかあらまし
 ※「しがらみ」杭を打ち並べ、小枝や竹などを渡して、川をせき止める装置。
 ※「~ませば~まし」反実仮想、もし~ならば、~っただろうに。
 ※「のどに」のどかに。

    明日香川をしがらみで
    堰き止めでもしていたら
    流れる水もゆっくりと
    流れていたことだろう


198 明日香川明日だに〈一に云ふ、さへ〉見むと思へやも〈一に云ふ、思へかも〉我が大君の御名(みな)忘れせぬ〈一に云ふ、御名忘らえぬ〉
 ※「明日だに見むと思へやも」〈やも〉反語。せめて明日だけでも逢いたいとは思わない、いつも逢
  いたい。

    明日香川の名のように
    明日だけ逢いたいのではなく
    いつも逢いたい皇女(ひめみこ)の
    お名前忘れたりしない


[PR]
# by sanukiyaichizo | 2017-05-25 00:00 | 万葉集巻二 | Comments(0)