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# by sanukiyaichizo | 2018-12-31 09:20 | Trackback | Comments(0)

敏馬(みぬめ)の浦に立ち寄ったときに作った歌と短歌
1065 八千桙(やちほこ)の 神の御代(みよ)より 百船(ものふね)の 泊(は)つる泊(とま)りと 八島国(やしまくに) 百船人(ももふなびと)の 定めてし 敏馬(みぬめ)の浦は 朝風に 浦波騒き 夕波に 玉藻(たまも)は来寄る 白砂(しらまなご) 清き浜辺(はまへ)は 行き帰り 見れども飽(あ)かず うべしこそ 見る人ごとに 語り継ぎ 偲(しの)ひけらしき 百代(ももよ)経(へ)て 偲(しの)はえ行かむ 清き白浜
 ※「敏馬の浦」神戸市灘区岩屋付近の海岸。
 ※「八千桙の神」大国主の神の別名。ものごとの由来の古いことをいうときに用いる。
 ※「百船」数多くの船。
 ※「泊つる」下二段〈泊つ〉の連体形。停泊する。
 ※「八島国」日本の異名。
 ※「まなご」〈まさご=真砂〉と同じ。〈ま〉接頭語。
 ※「うべしこそ」もっともなことに。なるほどその通りに。
 ※「偲ひけらしき」〈偲ふ〉賞美する。〈けらしき〉は〈ける〉過去連体形+〈らしき〉推定已然
  形。~たにちがいない。
 ※「偲はえ行かむ」〈え〉受身〈ゆ〉の連用形。〈む〉推量。賞美されていくだろう。

    八千桙の神の時代から
    多くの船が停泊する
    湊であるとこの国の
    船人たちが決めてきた
    敏馬の浦は朝風に
    入江の波がざわめいて
    夕べの波に藻が寄せる
    白砂清いこの浜辺
    行きも帰りも見るけれど
    見飽きはしないいつまでも
    なるほど確かに見る人の
    誰もが語り伝えては
    目を楽しませたにちがいない
    幾時代が過ぎようと
    眼を楽しませていくだろう
    この美しい白浜に

反歌二首
1066 まそ鏡敏馬(みぬめ)の浦は百船(ももふね)の過ぎて行くべき浜ならなくに
 ※枕詞:まそ鏡

    敏馬の浦はたくさんの
    船が立ち寄ることもなく
    通り過ぎて行くような
    そんな浜ではありません


1067 浜清み浦うるはしみ神代(かみよ)より千船(ちふね)の泊(は)つる大(おお)わだの浜
 ※「大わだの浜」大きく湾曲した入江。固有名詞としては神戸市中央区和田崎町の和田岬東北の海岸
  をいう。敏馬の浦からやや西にずれる。

    清い浜辺と美しい
    入江に魅せられ神代から
    無数の船が訪れる
    大わだの浜はすばらしい

原注
この二十一首(1047~1067)は、田辺福麻呂(たなべのさきまろ)の歌集の中に出ている。

万葉集巻六了


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# by sanukiyaichizo | 2018-01-16 00:00 | 万葉集巻六 | Trackback | Comments(0)

難波宮で作った歌と短歌
1062 やすみしし 我(わ)が大君(おおきみ)の あり通(がよ)ふ 難波(なにわ)の宮は いさなとり 海(うみ)片付(かたづ)きて 玉拾(ひり)ふ 浜辺(はまへ)を近み 朝はふる 波の音(おと)騒き 夕なぎに 楫(かじ)の音(おと)聞こゆ 暁(あかとき)の 寝覚(ねざめ)に聞けば いくりの 潮干(しおかれ)のむた 浦渚(うらす)には 千鳥妻呼び 葦辺(あしへ)には 鶴(たづ)が音(ね)とよむ 見る人の 語りにすれば 聞く人の 見まく欲(ほ)りする 御食(みけ)向(む)かふ 味経(あじふ)の宮は 見れど飽かぬかも
 ※枕詞:やすみしし、いさなとり、御食向かふ
 ※「あり通ふ」何度も通う。敬語が省略されている。
 ※「片付きて」一部が接して。
 ※「拾ふ」〈ひりふ〉は〈ひろふ〉の古形。
 ※「朝はふる」朝方鳥が羽ばたくように。
 ※「楫」櫂や櫓など舟を漕ぐための道具。
 ※「暁」あかとき。未明。夜明け前の薄明かりのころ。平安時代は〈あかつき〉。
 ※「いくり」海の中にある石。暗礁。
 ※「浦渚」入江の砂州。
 ※「味経の宮」大阪市天王寺区味原町下味原町のあたりかという。また難波の宮の一部かという。

    わが大君がお通いになる
    難波の宮は海に面して
    玉石拾う浜辺が近く
    朝吹く風に波はざわめき
    夕凪のなか楫(かじ)の音する
    夜明け前の寝覚めに聞けば
    岩が顔出す引き潮時は
    渚で千鳥が妻を呼び
    葦辺で鶴が鳴き騒ぐ
    見てきた人が話をすると
    聞いた人は見たくなる
    味経の宮は見飽きない


反歌二首
1063 あり通(がよ)ふ難波の宮は海近み海人(あま)をとめらが乗れる船見ゆ
 ※「海近み」海が近いので。

    帝が何度もお通いになる
    難波の宮は海のそばに
    あるので海人の娘らが
    乗っている船よく見える


1064 潮干(ふ)れば葦辺(あしへ)に騒く百鶴(ももたず)の妻呼ぶ声は宮もとどろに
 ※「百鶴」数多くの鶴。原文は〈白鶴〉だが『万葉考』に従い〈百鶴〉説を採る。
 ※「とどろに」鳴り響く音の形容。

    潮が引いたら葦原で
    騒ぐ多くの鶴たちの
    妻を呼んで鳴く声が
    宮まで響いて来るほどだ


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# by sanukiyaichizo | 2018-01-15 00:00 | 万葉集巻六 | Trackback | Comments(0)

春の日に三香原(みかのはら)の荒れた跡を悲しみ傷んで作った歌と短歌
1059 三香原(みかのはら) 久迩(くに)の都は 山高く 川の瀬清み 住み良しと 人は言へども あり良しと 我(われ)は思へど 古(ふ)りにし 里にしあれば 国見れど 人も通はず 里見れば 家も荒れたり はしけやし かくありけるか 三諸(みもろ)つく 鹿背山(かせやま)のまに 咲く花の 色めづらしく 百鳥(ももとり)の 声なつかしき ありが欲し 住みよき里の 荒るらく惜しも
 ※枕詞:三諸つく
 ※「三香原」京都府木津川市鹿背山の東北方向に広がる盆地。
 ※「はしけやし」〈はしきやし〉と同じ。ああしたわしい。ああ。
 ※「鹿背山」京都府木津川市にある山。
 ※「めづらしく」すばらしく。心惹かれて。
 ※「百鳥」多くの鳥。いろいろの鳥。
 ※「なつかしき」親しみを感じる。
 ※「ありが欲し」住んでいたい。

    三香原の久迩の都は
    山が高くて川の瀬清く
    住むのによいと人は言うけど
    ずっといたいと私は思うが
    すでに古びた里であるので
    国を見ても人は通わず
    里を見ると家は荒れ果て
    ああこのようにはかないものか
    鹿背の山のほとりでは
    咲く花の色すばらしく
    鳥たちの声心にしみる
    ずっといたい住みよい里が
    荒れていくのは残念だ



反歌二首
1060 三香原久迩(くに)の都は荒れにけり大宮人(おおみやびと)のうつろひぬれば
 ※「荒れにけり」〈に〉完了。〈けり〉詠嘆。
 ※「うつろひぬれば」〈うつろひ〉原文に〈遷〉の字が用いられ、場所が変わる意。〈ぬれ〉完了已
  然形。

    三香原の久迩京は
    荒れてしまったことだなあ
    御所に仕えた人々が
    移ってしまったものだから


1061 咲く花の色は変はらずももしきの大宮人ぞ立ちかはりける
 ※枕詞:ももしきの
 ※「立ちかはりける」〈立ちかはる〉入れ替わる。移り変わる。〈ける〉詠嘆、結びの連体形。

    ここに咲いている花の
    色は変わらないけれど
    御所に仕えた人々は
    移って行ってしまったよ


 ※久迩京(恭仁京)は、天平十二年(740年)十二月に聖武天皇の勅命により平城京から遷都された。
  しかし、都が完成しないまま天平十五年(743年)末に造営は中止され、紫香楽京に遷された。さ
  らに、天平十六年(744年)二月難波京に遷都ののち、天平十七年(745年)五月平城京に戻され
  た。


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# by sanukiyaichizo | 2018-01-14 00:00 | 万葉集巻六 | Trackback | Comments(0)